眼瞼下垂の手術に関する不安の一つが痛みです。手術中は痛いの?術後痛みはどれくらい続くんだろうと不安を抱くことでしょう。手術中の痛みを緩和するための方法が「麻酔」です。
麻酔の効き一つで、手術の効果や仕上がりの満足度、術後のダウンタイムにも影響を及ぼす可能性があります。麻酔というのは非常に重要なポイント。ここでは、眼瞼下垂の手術における麻酔についてご案内します。是非、参考にして下さい。
眼瞼下垂の手術における麻酔とは?
眼瞼下垂の標準麻酔は局所麻酔です。
必要な部分だけの注射で局所的に麻酔薬を浸透させ、部分的な痛みを取り除く方法です。
局所麻酔
局所麻酔は、リドカインと呼ばれる麻酔薬を局所に注射します。麻酔薬が浸透した部分の神経を一時的に麻痺させて痛みを感じることなく手術を行います。
局所麻酔の特徴は、部分的な注射なので意識が鮮明で、普段通り、会話ができると言うこと。局所麻酔で利用する麻酔薬にはアレルギーが少なく、安全であり、入院等の必要がないので眼瞼下垂の手術には非常に有効な麻酔方法です。
麻酔薬の作用について
麻酔薬の作用を知る前に、まずは痛みを感じるメカニズムを理解しておきましょう。
皮膚に強い刺激を加えると、その刺激が末梢神経である知覚神経を通じて、脊髄に伝達され、さらに脳へを伝えられることで痛みとして感じてしまいます。知覚神経による刺激の伝導は神経細胞外より神経細胞内にナトリウムが流入することで伝わっていきます。
麻酔薬を注射で皮下に浸透させると、薬剤が速やかに神経細胞内に移行し、細胞内からナトリウムチャンネルを遮断することで知覚神経による刺激の伝導・伝達が止まることで痛みを感じなくなるのです。
麻酔の効果・作用時間
麻酔の作用時間ですが、一般的には1〜2時間程度です。個人差もありもっと短い方もいますし、長い方もいます。眼瞼下垂の手術中に痛みを感じ始めたら追加することで痛みを感じることなく手術を受けることができます。
眼瞼下垂の手術が終わる頃にはほとんど麻酔の効果は切れてしまいますが、強い痛みを感じることはありません。万一、痛みを感じ始めたら処方している痛み止めを服用すると痛みはすぐに止まります。
麻酔の場所・範囲
麻酔をする場所ですが、瞼全体に麻酔の注射を打ちます。範囲が広いため痛みを感じやすいのですが、麻酔そのものは数分で終わりますので頑張りましょう。
ただし、眼窩隔膜を前転させ、瞼板に糸で固定するのですが、瞼板に糸を通すときに痛みを感じてしまう場合があります。もちろん麻酔を打ちますが、それでも一瞬ですが痛みを感じてしまう方がいらっしゃいます。
全身麻酔
全身麻酔というのは、お薬で眠らせた状態にしてしまう麻酔法です。人は眠っている間は意識はありません。眠らせている間に手術・治療をしてしまうのが全身麻酔下による方法です。眼瞼下垂の手術の場合には向いていません。
眼瞼下垂の手術は術中に目を開けたり、座った状態で目の開き具合を確認することがあるため、全身麻酔による眼瞼下垂の手術はお勧めしません。
静脈麻酔
静脈麻酔というのは、全身麻酔と同様お薬で眠らせた状態にして、その間に手術・治療を行ういます。全身麻酔との違いは単に眠るだけで、呼吸管理や筋弛緩などは行いませんので、覚醒が早く、途中で痛みを感じてしまう可能性が伴う麻酔法です。
局所麻酔の注射の痛みが不安な方は、静脈麻酔を併用することもありますが、ボーッとしている状態が続いてしまったり、吐き気などの症状が出てしまうことがあります。
結論から言えば…
眼瞼下垂の手術ですが、複合的に麻酔方法を併用するのではなく、基本的には局所麻酔だけの手術というのがやはりお勧めです。ただし麻酔の注射の痛みが苦痛な方は静脈麻酔を併用することをお勧めします。
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さまざまなご質問
眼瞼下垂の手術における麻酔についてのさまざまな疑問や質問にお答えします。
- 眼瞼下垂の手術後の痛みはどのくらい続きますか?
- 術後の痛みですが、麻酔の作用が切れても強い痛みを感じてしまうということはほとんどありません。もし痛みを感じるようであれば処方される痛み止めを服用すればすぐに痛みは止まりますのでご安心下さい。
- 麻酔が効かないということはありませんか?
- 基本的にはリドカインと呼ばれる麻酔薬を中心に使いますが、効果が弱い場合、効かない場合は他の薬剤に変更してくれますのでご安心下さい。
- 注射が苦手です。細い針を使えば痛くはないんでしょうか?
- もちろん、細い針を使えば刺したときの痛みはかなり緩和されます。しかし、麻酔というのは針を刺した時の痛みだけではなく、麻酔薬を浸透させる時にも痛みを感じてしまいます。その痛みは防ぐことは難しいです。